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エリクソン監督, Soccer - 2006 FIFA World Cup Germany - Quarter Final - England v Portugal - AufSchalke Arena, image © Mike Egerton/EMPICS
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世界一大変な仕事 -イングランド代表監督

フットボールカルチャー > プレーヤー特集 > イングランド代表監督

過酷だが、それでも誰かがやらなければならないイングランド代表監督という仕事。スベン・ゴラン・エリクソン(Sven-Goran Eriksson)をはじめとする歴代監督をとおしてこの仕事について考えてみたい。

今回のワールドカップで、イングランド代表はPK戦でポルトガルに破れ、またしても準々決勝で敗退した。この結果、多くの専門家がひそかに恐れながらも、あえて認めようとしなかった事実が証明された。

‘ゴールデン・ジェネレーション(黄金の世代)’としてもてはやされたデイヴィッド・ベッカム(David Beckham)をはじめとする選手たち。だが、彼らには、フットボール最高の栄誉であるワールドカップ優勝を果たすだけの精神的粘り強さがなかったのだ。

今回のイングランド代表チームのパフォーマンスは、もしかすると1966年以降で最も期待はずれだったかもしれない。そして、そのチームを率いたのが、スウェーデン人のスベン・ゴラン・エリクソン監督である。実績のない17歳のテオ・ウォルコット(Theo Walcott)を代表入りさせるなど、思いもよらないメンバーの選択、理解しがたい戦術、不調な年長選手に対するえこひいきなど、その采配が批判の的となった。

敗者か、それとも成功者か
だが、騒ぎが収まり、敗北のつらさも薄れてきた今、エリクソン監督指揮下の5年間の戦績を数字で見てみると、意外なことがわかる。

エリクソン監督は、セリエA時代に親しみを込めて‘Perdente di Successo(成功した敗者)’と呼ばれていたが、イングランド代表監督としての戦績も悪くはないのである。実際、歴代イングランド代表監督のなかで、伝説の名監督アルフ・ラムジー(Alf Ramsey)に次ぐ2番目の勝率を誇る。それなのに、エリクソン監督の任期中は、情け容赦なく追い回す英国タブロイド紙との対立と私生活におけるスキャンダルが絶えなかった。

過去の名将たち
イングランド代表監督という仕事は、気弱な者には務まらない。フットボールの世界で最も多くの人が手に入れたがる地位だと言う人もいるが、最も大変な職業でもある。それは、代表チームの国際舞台での栄光を切望する国民の期待が計り知れないからだ。

初代代表監督は、1946年着任のウォルター・ウインターボトム(Walter Winterbottom)。歴代監督のなかで最も有名なのは、40年前にイングランドに初めての、そして唯一のワールドカップをもたらしたラムジー監督である。

ほかにも、1990年ワールドカップでイングランドを準決勝に導いたボビー・ロブソン監督(Bobby Robson)や、1996年にユーロ96で準決勝進出を果たしたテリー・ヴェナブルズ監督(Terry Venables)などがいる。どちらの場合も、チームはPK戦でドイツに敗れたのだった。

タブロイドの格好の話題に
しかし、代表監督はヒーローから一気に悪人にされてしまうこともある。1992年、ヨーロッパ選手権が悲惨な結果に終わると、当時代表監督だったグレアム・テイラー(Graham Taylor)の頭がターニップ(カブの一種)に置き換えられた写真がサン紙の一面に大きく掲載され、以来テイラー監督は‘ターニップ・ヘッド’と呼ばれるようになった。

さらに、イングランドが1994年のワールドカップ本大会出場を逃すと、テイラー監督にとって事態は最悪となった。この時のワールドカップ予選の様子を追ったドキュメンタリー番組が放送され、その中でテイラー監督がつぶやいた‘Do I Not Like That’という言葉が流行語となり、その後も語り継がれることになったのである。

(‘Do I not like that?’とは、直訳すれば「私はそれが好きではないのか」と自問するような意味で、普通なら試合中にベンチでつぶややく言葉ではない。‘Do you think I like that?’「私がそんなことを好むと思うのか」と言いたかったのかもしれない )

また、現役時代にトッテナム・ホットスパーズ(Tottenham Hotspurs)でミッドフィールダーとして大活躍したグレン・ホドル監督(Glenn Hoddle)は、1998年ワールドカップ・フランス大会でイングランド代表を決勝トーナメントまで導いた。

ところがその後、体に障害のある人に関する問題発言で代表監督を解任された。この発言は世間の激しい怒りを買い、トニー・ブレア首相までもが、ホドル監督は辞任すべきだとコメントするほどだった。

また、年俸500万ポンド(約10億円)のエリクソン監督は、ベンチではおとなしかったが、実態は案外活動的だったようだ。その証拠に、タブロイド紙の紙面を賑わすのはしょっちゅうだった。マスコミが書き立てたエリクソン監督の女性関係にまつわる話をもとに悲喜劇が書かれ、先日、スウェーデンのストックホルムで公演が行われた。

そして後任は?
今月、エリクソンの後任としてスティーブ・マクラーレン(Steve McClaren)がイングランド代表監督に就任した。しかし、ここまでには曲折もあった。

FA(イングランドサッカー協会)が次期監督候補として最初に選んだのは、ほかでもない、ポルトガル代表監督のルイス・フェリペ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)だった。だが、イングランド代表監督就任の噂が立つと、タブロイド紙の激しい攻勢にあい、スコラーリは恐れをなしてしまったのである。

こうして、エリクソン監督の右腕だったマクラーレンが新監督となったわけだが、元上司のやり方にとらわれない主体性をすぐに発揮できるかが問われている。

エリクソン同様、マクラーレンも豊かな才能の持ち主であることは間違いない。そして、この新監督に、イングランドの究極の目標であるメジャー大会での準々決勝突破、いや、あえて言うなら決勝進出を実現するだけの精神力があることを期待したい。

2006年8月
ベン・ラプトン

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