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フットボールカルチャー > プレーヤー特集 > デイヴィッド・ベッカム

「僕は飲みに行ってジョッキ15杯ものビールをあおることもないし、ナイトクラブでさんざん飲んだ後、家に帰る前にカレーを食べに行ったこともない。・・・ピッチの中でも外でも喧嘩とか暴力沙汰に巻き込まれたことはないよ」

デイヴィッド・ベッカムは、今までのフットボール選手のイメージとは全く違うようだ。彼のフットボールの才能とチームへの厚い忠誠心は、いずれもトップレベル。彼には、有名フットボール選手につきものの、酒飲み、暴力的、同性愛嫌い、性差別主義者といった否定的な特徴は見当たらない。

英国の雑誌『FACE』の2001年7月号。ベッカムは、暴力沙汰に巻き込まれ、血まみれになった被害者を装って登場した。実際のベッカムにはありえない。他の有名雑誌では、男性として初めて『マリ・クレール』の表紙を飾り、『GQ』に掲載された写真の中でマシントレーニングをするその爪には、マニキュアが塗られていた。

男性的側面と女性的側面をうまくあやつるのは、ベッカムらしさの1つだ。「自分の女性的な面に戸惑いはなし、それが自分の行動に大きく影響していると思う」 恥ずかしげもなくサロンをまとい、その姿で撮影に臨んだりするのは、まさしく彼の女性的一面から来ているのだろう。

『FACE』は彼を“スポーツ史上もっとも偉大な女性”と称す。“本物の男”は、彼の妻、ポッシュ・スパイスこと、ヴィクトリア・ベッカムの方かもしれない。「男がサロンなんか着けてどういうつもりだ。頭は大丈夫か−と怪訝に思った人がたくさんいただろう」そしてこんな落ちがつく。“妻がズボンを履いて、夫にはスカートを履かせている”まさにその通り。

彼の“女性的な面”は広く知られており、グラビアにも度々登場しているが、それ以上に強いのは彼の母性だ。「ヴィクトリアに子供ができたと告げられた時、世界中で僕ほどの幸せ者はいないだろうと思った。信じられなかったよ。嬉しくて泣いてしまった。スキャン検査には毎回付き添った」さらに、彼は家のことにもまめだ。「普段の僕は、すごく清潔好きで整頓もきちんとしている。料理も好きなんだ」

フットボール選手は、英国社会では、男性的なイメージをもたれている。けれど彼自身の言葉から察する限り、彼は全くの「女性」なのだ。ただ、安心できるのは、と言うか、訳がわからなくなるのは、妻が彼は“ベッドでは野獣のよう”と言っていることだ。彼は、ゲイのアイドルであることも嬉しいという。マスコミのスポットライトを浴びるプレッシャーについても、面白い表現をしている。「1日約25時間、カメラに追いかけられているのさ」

世間は、成功した男性フットボール選手に対し、人種差別、性差別、同性愛嫌悪、暴力、酒飲みというイメージを抱いている。これは昔から現在まで変わっていない。だが、何か新しい動きが始まったのかもしれない。性別不明の、母性に満ちたゲイたちのアイドルは、英国で一番のフットボール選手だ。他の選手たちに求められている何かを彼は持っている。

文:ジェラルド・レモ

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