フットボールカルチャー > フットボールファン特集 > 英国と日本のフットボールカルチャー パート1
西野努プロフィール トニー・クロスビー プロフィール
僕にとって英国のフットボールで一番印象に残っているのはスタジアムの雰囲気なのですが、トニーさんは小さいころからよくスタジアムに行っていたのですか。
6才のころから行っていましたよ。ただ、リバプールの大ファンなのに、父の友だちはエヴァートンのサポーターばかり。小さな子どもだったので父の友だちについていくしかなく、エヴァートンのグラウンドしか行けなくて悲しかったです。11才になってやっと、大好きなリバプールの試合を独りで見に行けるようになったんです。
リバプールには、リバプールFCとエヴァートンFCという2つのクラブがあるんですよね。
お互い1kmしか離れてないですね。
だからダービー戦は盛り上がりますよね。
他の町と違うところは、家族の中でもリバプールファンとエヴァートンファンに分かれることです。
家族の中でもそういう会話ばかりなんですか。
そうですよ。ダービーでエヴァートンが勝つと母がご機嫌になって食事が豪華になったりね。
食卓にも影響するんですね。
母はエヴァートンのファンだからね。
英国では、やはり地元チームのファンになる人が多いのですか。
地元のチームのファンにしかならないですよ。日本のプロ野球の巨人ファンのような人は、裏切り者みたいに呼ばれます。たとえば、自分がマンチェスターに生まれたら、マンチェスターにあるチームを応援するしかないんです。いくら地元のチームが弱くてもね。それに皆、仕事より真剣です。仕事を風邪で休んでも、フットボールの試合は絶対に見に行く。
だから、2部リーグや3部リーグのチームでも、観客がたくさん入るのですね。
毎週何万人も入りますね。
チームが下位リーグにいても、観客はそれに合った楽しみ方を知っていますよね。 トニー: だから、観客が300人くらいしか集まらない5部リーグのチームでも、その300人は毎週必ずやって来るんですよ。
最近は日本でもJリーグにたくさんのお客さんが来てくれるようになりましたが、英国ではファンの応援の方法がまったく違いますよね。浦和レッズを含め日本では応援団長がいて太鼓があってという応援なのですが、それがトニーさんには奇妙に感じられるそうですね。
あれは野球の応援ですよ。英国では誰も野球をしないですから、ああいった応援はありません。フットボールでは、純粋にプレーに対して応援するんです。ファンはフットボールが大好きなだけではなく、フットボール自体をよく知っているから、少しでもいいパスをすれば拍手するし、ゴールを決めたときだけではなく、ちょっとしたいいプレーでもそれを褒める応援をする。
そうなんですよね。いいサイドチェンジがあるとすごい拍手が起こりますね。終盤の長いパス1本でも。
相手のディフェンダーがいいプレーをしても拍手をするんですよ。
あと英国でおもしろいのは野次。聞いていて思わず笑ってしまうおもしろいことを言いますよね。スタジアム全体で大合唱して。
そうですね。日本は観客の4割が女性ということですが、英国では女性はほとんどいないんです。男ばかりが集まるから使う言葉も違うし、レフリーに対してもけっこう厳しいことを言うんです。隣に奥さんや彼女が座っていたら言えないようなことをね。
でも、英国でも少しずつ女性が増えてきていますよね。
少しずつね。
あと面白いのが、50才とか60才の年配の夫婦が、ピッチサイドで過激な応援をしていますよね。日本ではあり得ないです。
選手との距離が近いから、よく聞こえるんです。選手がそれを聞いて笑ったりしていますよ。
それと、ビールとパブ。フットボールとのつながりが深いですよね。
ビールがないとフットボールは始まらない。フットボールがないとビールが売れないのではないかというくらいですよ。
試合を見に行くときは、必ずどこかでビールを飲んでから出かけるんですか。
そうです。誰かがボールを蹴っているのを見ると、自然に「飲みたいな~」と思ってしまうんですよ。
ビールはなくてはならない物になっていますね。
他のものは飲んじゃいけない。特にリバプールではね。
日本にはパブ文化がありませんし、居酒屋とはちょっと雰囲気が違うので、ビールとフットボールのつながりは英国ほどではないですね。
日英のフットボールに対する2人の思いは? 続きはパート2で
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