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常にチャレンジジング ステップのたびに、成長していける環境を目指して

 

転職という新たな一歩を踏み出す際に、経営におけるバックボーンを築くため、英国へ MBA 留学。帰国後は世界最大手の金融サービス会社で活躍。

名前:
今井雅能さん・GE Capital 株式会社に勤務

留学先:
University of Edinburgh Management School

プログラム名:
MBA Programme

 大学を卒業してから9年間でさまざまな経験を積み、留学後は世界最大手の金融サービス会社への転職を果たした今井さん。着実にステップアップを繰り返し、自らのビジネススキルを高めてきたこれまでの経緯を、「とにかく、いつでもチャレンジする気持ち、つねに自分が成長できる環境に身を置くこと。その姿勢が今の自分を形づくり、未来の自分を形づくるベースになるんだと思います」と語る。

では、今井さんがどのようにキャリアを積んできたのか、その出発点から振り返ってみたい。

エスカレーター式をやめ、一般受験で大学へ入学

 大学時代は法学を専攻していた。

 「大学には、いわゆるエスカレーター式で高校からすんなり入ることもできたのですが、それはやめて他の大学に一般受験して入学しました。理由は、その大学に“どうしてもこの人のもとで学んでみたい”という魅力的な教授がいたからです。法学部を受験したのもそれが理由です」

 日本の大学生と他国の大学生を全体的に比較すると、おおむね「向学心」という点においては、両者には大きな開きがある-これは筆者の独断ではなく、世間一般的な見解といっても相違ないところだろう。また、高等教育の場をどのように提供しているのか、その姿勢についてみても、欧米と日本では大きな開きがあるように思われる。欧米では入学試験という制度は基本的になく、専門的な知識やスキルを得たいと考える学生への門戸は日本に比べて広い。つまり、向学心に応えるシステムだとも言える。一方、日本の場合は、「大学に入学すること=向学心を叶える」という図式がずいぶんと長きにわたって失われてきた。インタビューの開始直後、先の今井さんのエピソードを聞いているうちに、今更ながら日本の大学教育の矛盾点、反省点を強く感じたと同時に、「理想のキャリア」を積んでいくための大切な資質とは何かが垣間見られたような気がする。その資質とは、自身を成長させるためにどん欲であること、その向学心のことだ。大学生時分は、「将来についての明確なビジョンはなかった」と語る今井さんだが、自身が満足するため、成長するための環境を模索し、実行に移す姿勢は、この時代から確立していたように思われる。

“経営の根幹に立つ”ための、はじめの一歩

 将来への明確なビジョンはなかったが、“経営の根幹に立ちたい”という思いはあった。これは今井さんの父親が、祖父の代から続くハンドバッグの製造販売業を営んでいたことも影響していた。

 「ただし、大学時代は目一杯、法学について学んでいましたから、経営のことについては素人でした。そこで会社経営の基本である経理についての知識を得たいと思ったんです。大学卒業後に入社した企業は、営業、財務経理、人事の3部門が、それぞれの部門ごとに採用を行っており、私は経理部門の採用試験を受け、入社にこぎ着けました」

 入社1年目は、春日部にある工場へ配属される。その最初の半年間は、会計全般についての知識を得るために通信講座を受けながら、仕事をこなす日々。

 「工場勤務だったこの1年間は、財務についての基礎を学びました。ただ、工場での仕事はほぼマニュアル通りの業務が多く、クリエイティブさへの欲求はありましたね。入社時に工場勤務が2、3年は続くと言われていましたから、先のことを考えると少し憂鬱になったり……。そんなとき、転機が訪れたんです」

 転機とは、東京の事業本部への異動のこと。3年間は工場勤務を覚悟していた今井さんにとっては、大いなる喜びとなった。

 「本部での仕事は実に刺激的でした。財務データを集計・分析してより全社的な観点で事業計画書などを仕上げる。何より会社の経営者に自分が作ったレポートがダイレクトに伝わるので、やりがいもありました」

 そしてこの時期に初めて MBA を意識し始める。

 「上司の一人が MBA ホルダーだったんです。堪能な英語力もさることながら、経営者からの信頼もあり、自分も MBA を取れば、ああいう風になれるのかなあ……なんて、漠然と思いましたね」

自営業を再建

 充実した日々を送りながらも、入社して3年半で退社。大きな理由は、父親の会社を再建するためだ。

 「父親の会社は祖父の代から続く、老舗のハンドバッグメーカー。時代もありましたが、経営状況が悪化しまして……」

 過剰有利子負債による資金難、その整理に追われた。そして、自らが中心となって新会社を設立し、営業を継承した。

 「この時代、初めて経営というものに触れました。どうやったら同じ轍を踏まずにすむのか、事業を拡大できるのか、そのための戦略を考えたのですが、一番は少ない人と資金で売れる商品を作り出す必要があったこと。そして、それまでの大衆向け商品から高品質のハンドバッグ製造に転換しました。商品構成を絞り、手縫いのハンドバッグシリーズをプロモーションしていきました。もちろん小規模企業形態でしたから、製造サイドのことで言えば、コストダウンを考えた製造工程の管理や、職人への発注管理、できあがった商品の品質管理も自分でやらなければなりませんでした。またマネージメントサイドで言えば、日常的な会計業務の他に効率的な資金作りについても自分が中心になって行いました。この時代を通じて知ったのは、経営のシビアな面です。何十億を動かしている大企業と違い、中小企業は極端な話、1万円が用意できなくて倒産してしまいます。同時に、置かれた環境で何ができるのか、そのための判断力と実行力がいかに大切かを、身をもって経験できたと思います」

よりダイナミックなビジネスのステージへ

 自社の経営が軌道に乗った折を見て、今井さんは次のステップに乗り出す。

 「将来のキャリアを考えたとき、もっと大きなビジネスステージで自分を磨きたい、社会にインパクトのある仕事がしたいと考えました。国内だけでなく国際的な規模で仕事をしたいという欲求が湧いてきたんです」

 そして、MBA 留学を決意。

 「MBA 留学は、当時30歳だったという年齢的なことを考えてもラストチャンスだと思いました。MBA 留学を考えたのは、経営者としての視点を明確に持つこと、つまり、経営者としてのフレームワークを身に付けたかったことが大きな理由です。経営者としての視点といっても、別に留学後に起業を考えてのことではありません。たとえ大企業で働くにしても、トップが何を考えているか、経営の手法を理解できることは非常に大切なことです」

 転職に先駆けて、まずマーケティングと企業戦略論を学ぶことに決めた。そのための大学院選びだが、今井さんが選んだのはスコットランドの首都・エジンバラにある、英国でも屈指の名門大学である University of Edinburgh Management School。

 「英国の MBA プログラムの優位点は、ひとつに1年間のプログラムであることです。経済的、時間的に、安く短期間で学べる点がメリットで、またプログラムを受ける100人程度の学生の出身国は30カ国以上、年齢も20代後半から50代までと非常に層が広いです。金融、メーカー、コンサルティング業界出身の学生もいれば、医者、公的機関出身者、さらに戦闘機のパイロットだった学生がいたりと、それぞれのバックグラウンドも多彩です」

 今井さんは主にファイナンスと経営戦略論を学ぶ。

 「もちろん専門分野についての知識・スキルはもちろんのことですが、留学して得たことで大きかったのは、物事をロジカルに考えられるようになったことです。経営者の立場で、会社で起こるさまざまな事象を論理的に考え自分の業務に生かす術は、留学で得た大きな財産です。また、論理的な思考は相手に自分の考えを的確に伝えるためにも必要ですから、その意味でも大きく成長できたと思っています」

 そして、1年間の留学を経て、世界最大手の金融サービス企業に転職を果たす。

 「これまでの経験、英語力、MBA を取得したことも採用のポイントだとは思いますが、つねにチャレンジする姿勢、つねに次のステップへ自身を向上させていく姿勢、その考え方が、コーポレートバリューに合致していたのだと思います」

 一歩一歩、キャリアを構築してきた今井さん。もちろんそのためには計画的に実行に移すための準備も怠っていない。実際、MBA に入学するために、留学する1年ほど前から、日々の仕事をこなしながら予備校に通い、英語に至っては独学でマスターした。また就職活動についても、留学後から始めたのではなく、渡航後すぐにロンドンにある日系の就職エージェントに登録しておくなどぬかりはない。

 つねにチャレンジする姿勢と、置かれた環境で何をすべきか考え、次の一歩のために準備する-求めるキャリアをモノにする方法が、今井さんにはある。

プロフィール

1990/4
慶應義塾大学に入学。法学部を専攻。
1994/4
鐘紡株式会社に入社。1年目は春日部工場(新薬・漢方薬製造)経理課配属。2年目から薬品事業本部の経理部、事業計画部に勤務。上司の影響でMBAを意識し始める。
1997/9
自営業再建のため鐘紡株式会社を退社。老舗のハンドバッグメーカーである株式会社ボルセリア今井に入社。経営状況が悪化していた自営業の再建に着手。
1998/3
有限会社ディロを設立。事業再建のための戦略立案。高品質のハンドバッグ製造に商品構成をしぼり、ベンチャービジネスとして事業再建を目指す。手縫いのハンドバックシリーズをプロモーションする戦略を立案。
2003/7
留学のため、有限会社ディロを退社。
2003/9~2004/9
University of Edinburgh Management School で MBA を学ぶ。帰国後、GE Capital 株式会社に入社。
 
 

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